新旧・新人王決戦! 投げ勝つのは俺だ! 〜キッズ戦〜
エリと結婚したい
(オイジ)
我らがホトケと相思相愛のホームである御所富小路グラウンド
そんな御所での試合も今日がシーズン最後。
ホームでは30勝1敗1分と、たぐい稀な内弁慶を披露してきたホトケであるが、最近はその圧倒的強さは形(なり)を潜め、相手の猛攻をしのぎ切る展開が多々見られる。
しかし今日のホトケナインは、守りに思考を割くことはない。
それは決して余裕から来るものではなく、今日の対戦相手がストライクキッズであり、その先発ピッチャー・ホンマの実力を認めるからこそであった。
守りきる展開になればまだマシ…。
守りきるためには京阪リーグ・トップクラスの投手であるホンマから点を取らなければならない。
それがどんなに困難なことか
それを理解しているからこそ、「打」でチームを引っ張るミツイはもちろん、「守」の要であるニシオカでさえも、攻撃にすべての神経をそそいでいるのだ。
そしてこの男も…
シャク「へっ、なにが猛打のホトケだ。『猛打』ってのは先発ピッチャーに十分な援護を与えてくれる打線のことを言うんだよ。毎回毎回、俺に負担を背負わせやがって。どうせ今日もホンマとかいう野郎にボロボロにされるんだろ?しょうがねぇな、俺が試合を作ってやるとするか。」
諸事情により、連戦連投・先発完投という多大なる重責を担う次期エースのこの男。
本来の穏やかな性格も、上記ような強度のストレスにさらされ、
暴露・暴虐・嫉妬・淫奔
怠惰・忘却・模倣・傲慢
ありとあらゆる闇の力に心を蝕まれていた。
しかし、ある男の登場により
事態は一変する!!
???「おいおい、シャクよ。えらく高飛車な態度をとってんじゃねぇか。」
ウツノミヤ「なんだこのチビは?少年野球なら向こうのグラウンドで練習してるぜ。さぁ、どいたどいた!」
ドイ「バカ野郎!この方は単なるチビじゃねぇ!現・ホトケエースのナカザキさんだ!」
なぜ突然ナカザキさんが…
ミツイの携帯電話には確かに「急用で行けない」という趣旨のメールが届いていたはず…
ナカザキさん「いやぁ、ちょっと研究室の野球で忙しいんだよ。ほら、5番グラウンドを見てみな。あそこで研究者の卵たちが野球してるのが見えるだろう。」
しかしホトケナインの目に写ったのは、到底野球とは言えないレベルの球遊び。
なぜナカザキさんは我ら誇りあるホトケではなく、研究室なんぞのお遊びに興じるのか…
シャク「あんたには失望しましたよ。先輩だと思ってエースの座を譲っていましたが、今日でそれもおしまいだ。あんな野球ともスポーツともいえない遊びに混ざってぬくぬくと過ごしてるあんたより、俺こそが真のエースだという事を証明しますよ!」
ナカザキさん「…まぁいいさ。どう思われようとかまわない。だがな、これだけは覚えておけ。下手くそだろうとなんだろうと、仲間を信じる心がないものにエースの重責は務まらない。」
そう言って踵(きびす)を返すナカザキさん。
重苦しい雰囲気がベンチを包む中、試合開始の合図が響く…
初回
ホトケの攻撃はおなじみ1番・ニシオカから
ニシオカ「ふん、ホンマよ。お前の投球はすでに俺の頭の中にインプットされている。研究済みというわけだ。詳しくは前回の裏ホトケブログを参照しろ!」
ズバーーーーン
ギュィィィィイイン
!?
ニシオカ「くっ!こ、これは!?」
ほぼ100%荒れ球になるだろうというニシオカの予想に反し、ホンマの投じる直球は見事なまでにコースギリギリへと決まる。
あまりに予想外の出来事にバットを振る間もなく三振に倒れるニシオカ。
続くはホトケ打線の鬼門である2番
その2番に座ったのは、なんと故障明けのマキノであった。
そのマキノはボテボテながらも、足の怪我を感じさせない陸上部仕込みの俊足で内野安打。
さらに遅刻魔・ハラダのおかげで3番に入った好調のカシワギがなんとかポテンヒットでつなぐも、
4番・ミツイ、5番・シャクという要注意打者に対してホンマが貫録のピッチングを見せ、無得点に終わる。
すると、その裏
悪夢が訪れる・・・
シャク「ちっ、ナカザキの野郎が来やがったから調子狂っちまうぜ。まぁ、俺は俺の実力でエースになる!これは諸行無常の世の中でも変わらない確固たる事実だぜっ!」
ギュィーーーーーン
カキーーーーーン
シャク「!?」
相手の先頭打者が放った打球は伸びに伸び、
まさかの先頭打者ホームラン
真のエースとして実力を披露せんとするシャクの出鼻を叩き折る先制弾
なんとかこの回は最少失点で抑えるものの、
肝心の攻撃陣が、フルタ・ドイ・ウツノミヤの3者連続三振などを含めた凡打の山を築き、
ここまでのヒットは初回の2本に加え、もう1本マキノのスーパーな内野安打が飛びだすにとどまる。
それに対しシャクは、2・3・4回と先頭バッターに出塁をゆるす苦しい展開。
先頭バッターの出塁
それはピッチャーにとって最大の精神負荷。
先頭打者ホームラン以降、それが3イニングも連続したとあれば、如何に強固な精神を有するシャクとあってもその疲労は計り知れない。
なぜ打たれる…
どうしてアウトにならない…
そんな弱気に心が折れそうになった時、彼の目にある光景が飛びこんだ。
青年A「あー、またエラーしちゃったよ〜〜。」
青年B「あー、全然打てないってのよ〜〜。」
ナカザキさん「ドンマイ!ドンマイ! 次、頑張ろうぜ!」
研究者の卵たちと無邪気に戯れるホトケのエース。
<回想>
シャク「あんたには失望しましたよ。先輩だと思ってエースの座を譲ってやっていたが、今日でそれもおしまいだ。あんな野球ともスポーツともいえない遊びに混ざってぬくぬくと過ごしてるあんたより、俺が真のエースだという事を証明しますよ!」
ナカザキさん「…まぁいいさ。どう思われようとかまわない。だがな、これだけは覚えておけ。下手くそだろうとなんだろうと、仲間を信じる心がないものにエースの重責は務まらない。」
仲間を信じる心
シャクの目からウロコが落ちた
そうだ…
俺は1人で野球してるんじゃない。
俺は壁に向かってボールを投げてるんじゃない。
後ろを向けばみんなが俺と同じ方向を向いてる。
ベンチには俺を応援するキャワイイ女の子もいる。
そうだ!
俺は仲間と野球をしてるんだ!
ついにエースの境地へと辿り着いたシャク
追加点を許さない気迫のピッチングで後続を打ち取ると
この想いは打撃陣にも好影響を与え始める。
4回
シャクが自らのセンター前ヒットで出塁すると、ワイルドピッチと内野ゴロの間に3塁へ。
打席にはウツノミヤ
バコーーーン
打球はフラフラっとセンターへ上がる
万事休すのこの状況に、ホトケの最終兵器が動く!
???「今日は残念ながら試合には出られないが…。ふふっ、『仲間とする野球』か…。そういわれると私も協力せざるを得ないようだ。」
サキヤマ神「エスパーーーー!!」
相手のセンター「な、なんだ!?ボールを、捕球したはずなのに、グ、グラブが閉じない!?」
万物を凌駕するサキヤマエスパーは、まるでモーゼが海を開いたように、相手のグラブをこじ開けてエラーを誘う!
1−1
ようやく同点に追いつくと、続く5回
ニシオカ「この俺がこれ以上無様な姿を見せるわけにはいかねぇな。全国のニシオカファンの泣き顔を見たくねぇからよぉ!」
カキーーーン
打球はショート正面へ、しかしあまりの打球速度にショートが動揺し悪送球。
すかさず2塁へ進塁を決める。
マキノに代わって途中参加の2番・ハラダさんが簡単に三振に倒れるも、
ここでバッターは最近絶好調の3番・カシワギ
カシワギ「見とけよ、ハラダさん。これがクリーンアップの仕事やーー!!」
カキーーーーン
見事な流し打ちでライト前ヒット!
2塁ランナー・ニシオカが俊足を飛ばし一気に生還!
2−1
華麗なる逆転!!
こうなれば後は逃げ切るのみ。
5回に
2ベースを浴びて1死2塁のピンチを迎えるも、
シャク「もう大丈夫ですよ。慌てたりしません。俺には信頼する仲間がいますから。そうですよね?ニシオカさん。」
ニシオカ「当たり前だぜ!相棒!」
シュィィィィン
バシッ
もはやホトケ名物、ニシオカの超絶ダイビングフライキャッチ
巨人・内海投手が奪三振数と同数のランドセルを児童養護学校に寄付、
元阪神・赤星氏が盗塁数と同数の車椅子を病院へ寄付するなか、ようやくニシオカも重い腰をあげた。
ファインプレー数と同数のお宝写真を全国のホトケブログファンにプレゼントだ。
これからもニシオカ共々、ホトケへの応援をお願いいたします。
さらにはレフト・カシワギがあわや本塁打かという大飛球を好捕するなど、守備が盛りたて逃げ切りに成功。
これでついにホトケの後期リーグ・同率優勝以上が決定。
オールウェイズが1つでも負けか引き分けると、単独優勝が確定します。
今後はトーナメント戦が主となりますので、ここでも勝って完全優勝しましょう!
今日の英雄
カシワギ
(3打数2安打1打点)
勝ち越しタイムリー
季節外れの扇風機(新コーナー)
(2打数2三振)
フルタ
(3打数3三振)