ホトケ流 三連式卒業 〜野球とカレーと、時々、勉強〜

平成26年3月25日午前10時

「おめでとう!」
「今までありがとう!」

京都市勧業館みやこめっせ

そこは偉大なる先輩たちへの感謝・祝福、あとを託す後輩たちへの感謝・激励の言葉に溢れている







歴史ある素晴らしい京都大学に入学し、4年ののち無事に卒業できる喜び
大学生活に大した思い入れもない学生でさえ、このときばかりは感慨深くならざるを得ない


松本総長「入学した時の夢を覚えていますか。その夢は、徐々に形を変えていったと思います。私はそれに苦言を呈そうとは思いません。むしろそれこそが…」
(意訳:君たちの顔を見るのは4年ぶり2回目です。)


京都大学学歌
作詞:水梨彌久(みずなしやきゅう)
作曲:下総皖一(しもふさかんいち)
昭和15年1月18日制定)
九重に 花ぞ匂へる (この花、めっちゃいい匂い)
千年の 京に在りて (京都の町で出会ったなら、俺たちはもうブラザー)
その土を 朝踏みしめ (朝起きるのは辛いし、苦手)
その空を 夕仰げば (カーテン開けるの、だいたい夕方)
青雲は 極みはるかに (だから青い空はなかなか見れない)
われらの まなこをむかえ (そうこうしてたらまた眠たい)
照る日は ひかり直さし (太陽光から人工光へ)
われらの ことばにうつる (さあ、ツイッターでも嗜むか)



ありがとう!!




京都大学!!











!?




ユニフォームじゃない!!

てか、スーツ持ってたんや!!




失望しました…


相撲部は‘まわし姿’やのに…
ユニフォームで出席する勇気ぐらい、ホトケ黄金期を築いた彼らには持っていてほしかった…



ニシオカ「おいおい、勘違いしてもらっては困るな。これはあくまでも京都大学の一学生としての卒業式なのだ。」

ミツイ「その通りだ。そして、これからが栄光あるホトケメンバーとしての卒業式!」









平成26年3月25日午後3時

「よっしゃーー!!」
「バッチコーーーイ!!」

御所富小路6番グラウンド

そこは、いつもと同じ
白球に命を懸ける男たちの大声がこだましている









バコーーーン





バコーーーン






ホトケ名物野球盤

本来なら18人必要な実戦練習を、わずか5人で行うことが可能
この画期的な方法により、数多くのホトケ部員が実力を向上させた。



カシワギ「いや〜〜。やっぱりミツイさんとニシオカさんは流石やなぁ。野球盤とはいえ、これだけヒットを打つのは京阪でもこの人たちぐらいや。」

シャク「本当にその通りやなぁ。彼らの勇姿を見てもらいたくて、今日はマユハを連れてきてしまったぜ。ハッハッハ〜〜。」





いやいや、そういうお前たちもほんまに凄い選手やで。



カシワギが外野からの矢のような返球で魅せれば、大木のはるか上空を超えるホームランでシャクがアピール。

鋭いライナー性の打球を連発し元ゴールデンルーキーの片鱗をドイが発揮すれば、今冬で最も成長を遂げたヤマグチは堅実な守備とパワーの増した打撃を披露。



ここにはホトケが誇る最高のプレーヤーが揃っている。
どこに出しても恥ずかしくない、俺たちの仲間だ!!




スカッ



スカッ








ミツ・ニシ・サト「……」



4年でこれかぁ…

悲哀、呆れ、微笑ましさが絶妙にブレンドされた感情





4回生たちが言葉を失う中、意外な男が口を開く!







ヤマグチ「使えん男ですな。」









ヤマグチ「正直、僕も大したことは言えません。そう、秋までの僕ならね。しかし、この冬 僕は見違えるほどの成長を遂げました。トランセルからバタフリーコクーンからスピアー、いえ、コイキングからギャラドスといっても過言ではない。フナコシさん、あんたはいつまで‘がくしゅうそうち’のお世話になるつもりですか?」




いつになく饒舌。
ホトケ1の寡黙で温和なこの男が。


しかし、これは道理。
実力至上主義のホトケにおいてはこれ以上ない道理なのだ。




フナコシ…


悔しくないのか。



俺たちは悔しい。




同じ4回生として、お前が後輩にここまで言われるのを見ていられない。




フナコシ…




お前の力を見せてくれ…




!!

おや…
フナコシのようすが…










おめでとう!
フナコシはヌケニンに進化した!





フナコシ「俺はホトケのヌケニンや!HPはたったの1、だけど状況次第で最強になれるロマンの塊。俺にとって最高の居場所、ホトケこそが最強になれる唯一の場所!」





オラァ!!










カキーーン





カキーーン




カキーーン






3連打を含む大活躍!!


かっこいい!
こんなフナコシ見たことない!



やっぱりホトケに足手まといなんていないんだ!
俺たちはみんな最高のプレーヤー!







ありがとう!





ホトケフォーエバー!!






これがホトケ流の卒業式。
野球で出会い、野球で別れる。


だけど、寂しくなんかないよ。


これはミツイダイナマイトモンスターズの入学式でもあるのだから…









平成26年3月25日午後7時


「ナマステー!!」
「ナマステー!!」


ナマステタージマハル丸太町店

そこは、カレーを愛する男たちの至福のナマステで溢れかえっていた…




わずか10日前まで悲惨なる戦場であったそこは、今やホトケカレー部の卒業式会場である








はじめてのチーズナンに心躍らせるウツノミヤ
3年間で真っ黒に染まった彼の心も、美味しそうにとろけるチーズの前では純になる。



サトウ「焼きそばとピラフは絶対に注文するな!視界から抹消せよ!」

モリ「チーズナンを最初に、ハチミツナンを最後にせよ!これは命令である!」





豊富な経験と知識、見事な統率と連携




丸太町店はもはや我々の敵ではない。
ただ掠(かす)めとり、蹂躙するだけの場。




ミツイ「小麦粉なくなるまでナン食うから。」

ヤマグチ「日本がカレーの消費量世界一になる日も近いで。」





ナマステ店員「モウアカン…。クニニカエリタイ…。」








???「諦めるな!われらがネパールの民よ!」











異形の者「我が名はティラク。タージマハルの守護者なり。ガンダーラより京都に君臨し、ネパールの神。」
(訳:俺はティラク。14店のナマステタージマハルを統べるエリアマネージャー。京都大学同志社大学に在籍したこともある超インテリネパール人。食材の輸入は俺の担当やから、お前らの胃袋を爆発させにきたで。)






突然の強敵に驚く一同

そして流れる不穏な空気…





フナコシ「な、なにがエリアマネージャーや!偉そうにすんなよボケッ!」

カシワギ「そうやそうや!焼きそばとピラフと、あとココナッツの甘いナンさえ頼まんかったらええだけや!」




ティラク「ん?甘いナン?カシミリーナンのこと?へい厨房、カシミリープリーズ!!」





一同「No!! You are wrong!!」

ティラク「I'm right!! I am always right!!」






テーブルに並ぶ大量のナン






あかん…
こいつ、思ってたよりはるかに手ごわい…
そして、絶妙になれなれしい…



フナコシ「ちょっとトイレ…」

ニシオカ「俺も…」

カシワギ「僕も…」






次々と倒れるホトケカレー部

まさか、嘲笑いに来たはずなのに返り討ちにあうなんて!



信じられない!

信じたくない!




誰か…

助けて!






ドイ「あ、じゃあ僕が食べます。」




ドイ!




1時間遅れで参戦した、こいつはドイ!!




影が薄すぎて、いなかったことに誰も気づかない、こいつはドイ!!




ティラク「やるな、ドイ!へい厨房、対ドイ専用スペシャルセットプリーズ!!」











ものともしない!



ドイはものともしない!




というか怖い!



進撃の巨人かっ!






ナマステ




残ったのはそれだけ




ナマステ





ドイの参戦で辛くも勝利したホトケカレー部




ナマステ




だがそこに勝者も敗者もない




ナマステ










歴史的融和



そう、もう憎しみは必要ない

死力を尽くして戦ったもの同士
カレーを愛する者同士





最高のナマステをあなたに








京都大学の学生として、ホトケのプレーヤーとして、ホトケカレー部員として




それぞれの卒業式が終わった


よりいっそうの勉学に励むもの
社会に出て仕事に勤しむもの
新たな目標に向けて今は力をためるもの


彼らには様々な道がある




迷ったときはいつでも帰ってくればいい
それがホトケ、俺たちの居場所







確かなことなんてわからない世の中だけど

これだけは確かにいえる








ヌケニンは状態異常に弱い


フナコシ、毒状態に陥り京橋駅トイレにて死亡




ティラクの罠