ペッカー戦 『神降臨!えすぱぁー炸裂!』

中村監督(PL学園)は、礼儀と挨拶を大切にする。

試合に勝っても、「勝った」という言葉を使わない。

いつも、「勝たせていただいた」とおっしゃっていた。


桑田真澄(『心の野球』より)





火曜、水曜と強豪スヌとの死闘の末、辛くも勝利をおさめたホトケ


今日の対戦相手はウッドペッカー


開幕戦では、元エース・現バッティングピッチャーのせいで

思わぬ苦杯をなめさせられた相手ではありますが、

ホトケ戦後、13連敗の大記録を達成し、リーグの下位に低迷するチーム。

前回は17-2で勝利し、圧倒的な力の差を見せつけました。



ミツイ 「今日はなるべく楽な試合にして、1回生どもに出場機会を与えてやるとするか。」



試合前から、余裕の采配計画を立てるミツイのもとに、

不敵な笑みを浮かべながら、あの男が現れる。



今泉  「やぁー、ミツイ。先日のダルマ戦ではお世話になったけんね〜。

今日はとっておきの助っ人を用意したっちゃね。楽しみにしちょってよ。」


ミツイ 「ちょ。ダルマのマウンドでナイスなピッチングしっちょってからにー!

あんなんあかんでっさかいなー。今日は投げんといてくんなましよー。」



今泉の福岡弁に対抗すべく、ハラダケイ仕込みの福岡弁で会話するミツイ。

ミツイのネイティブ福岡県民並の福岡弁に驚きの色を隠せない今泉。


と、そこへ、今泉が召喚した助っ人が登場し、思わぬ波紋を呼ぶ!



??? 「ホトケの皆さん、こんにちは!きみたちと野球するのは今週3回目だね。

ひゃっはっはー!!!」


キムラ 「て、てめえはまさか!!!スヌ主将 永田かぁああ!?」





スヌ主将 永田

(ちょっと違うけど、50メートル離れて見たら同じ顔



ニシオカ 「いったいぜんたいおめえらどういうつもりだ!

毎回毎回、対ホトケ戦に助っ人として参加しやがって!」


永田   「ホトケを倒すこと。それが俺らの目標。そんだけ。わかる?
ひゃはっははっはー! 」


今泉   「よく言うけんね。敵の敵は味方ってことっちゃねー!

しゃああはっはーー!」





(ナレーション) 担当 垂木 勉


憤るホトケを前に、勝ち誇ったように高らかな笑い声をあげる今泉・永田


おまえらが負けて、惨めなツラをさらすのが見たいんだよ!

ホトケの全てを否定する存在、それが俺ら。


はりついた薄ら笑いに隠されたその実…



宣戦布告



明かなる反目の意志

決して笑ってなどいないその眼下



最悪



増幅するミツイの苛立ち

異常に張りつめた緊張がグランドを支配する中、

ついに、プレーボールのゴングが鳴り響く!!!





ホトケは初回、2回と、キムラのヒット一本に抑えられ無得点に終わる。


2回裏、ペッカーの攻撃


永田 「ちょっと、ちょっと、ペッカーの皆さん。集まって下さい。

僕があの投手の攻略法をお教えしますから。」


今泉 「みんな、永田の話をよく聞くんだ!やつは今週の火曜にあの投手と対戦したそうだ!」


永田  「あの投手はですね…。ゴニョゴニョ…」


ペッカー「ヘッヘッヘ!なるほどなるほどですな!」



火曜の対戦で得たデータをもとに、中崎攻略法を公開する永田


京阪リーグ規約4条3項


『他チームの試合に、京阪リーグ所属の選手が出場してはならない』


は、もはや形骸化してしまったのか?


あまりにモラルに欠けるペッカーの行動。

この卑怯極まりない作戦は、中崎の不調もあいまって見事に的中!

なんと、3回までに2点を奪われる苦しい展開に。



ホトケは、3回にドイの3カ月ぶりのヒットが飛び出るも無得点。



ナカザキ 「くぅ…。肩の調子が最悪だぜ。これはまずい…。」


ここまで11勝、ホトケのエースとして君臨してきたナカザキさんも、

最近の肩の酷使がたたり、今季初のスランプ状態。


「ナカザキさんが不調…。やばいんわね…。ホトケが負けるなんて嫌!」

と、心配で、この先が読めそうにないプリチーな女性読者の皆さん


ご安心ください!


ホトケは京阪屈指の投手王国。

ホークス杉内・和田並のダブルエースが、ここに実現しているのです!!!



シャク 「中崎さん。あとは、ボクにまかせてください。

昨日、ミツイさんとラーメンを食べに行って、帝王学を授かったので、

今日は、僕の腐りきった性根も一時的に正常ですから。」


ナカザキ「あ、あとは任せたぜ。シャクよ…。」


永田 「ひゃああはっはー!ご安心ください。あの投手はですね…。

ゴニョゴニョ…。」


ニシオカ「シャクよ!あの愚劣きわまるサバンナ八木もどきを黙らせろ!」


シャク 「しゃありゃあああああああああーー!!!」





ギュィイイーーーン!



ズバーーーーーーン!



永田  「ばかな…。前回対戦した時よりも明らかに球威が増しているぅ!」


シャク 「2日前の話でしょ?僕は自分でも信じられない早さで成長してるんです。」



シャクの唸りをあげる豪速球にペッカー打線は完全沈黙。

4回、5回をパーフェクトに抑える好投をみせる☆



しかし、今日は何かが変でした。



シャクやカシワギのジャストミートがことごとく、相手守備の正面を突き、

4回、5回とホトケも無得点に終わり、

2点ビハインドのまま6回の攻撃を向かえることに…。


ナカムラ「なんか今日は様子が変じゃのぉ…。嫌な予感がプンプンしとるわい…」


チーム1不吉な顔をした男が吐く不吉な言葉…。


不穏な空気が漂うホトケベンチ



人類が有史以来、

何をやってもうまくいかない。

どんなにがんばっても失敗する。

そんな絶望的な状況に立たされた際、

必ずと言っていいほど求めてきたものがあります。





救い   SALVATION





イケダ 「うぅ…。負けるわけにはいかないんだ…。

神様、ボクたちを勝たせてください。

3日くらい、エッチな動画を見ることを我慢します。

僕にとっては「死」よりも辛いことです。

だから…だから…。」



??? 「哀れな子羊よ…。汝の名はイケダ。」



モリ  「ディス ヴォイス イズ マサカ! 」



(訳 この声はまさか…)



この世には目には見えない闇の住人たちがいる

奴らは時として牙を剥き、君たちを襲ってくる

彼はそんな奴らから君たちを守るため

天の国からやってきた 正義の使者なのかもしれない…




サ〜キ〜ヤ〜マ〜シ〜ン




(参考 『地獄先生ぬーベー』)




サキヤマ神 「ホッホッホ。皆の衆、うろたえるでない。

今日はもう一人、とっておきの助っ人をつれてきたぞよ。」


???   「オーホッホ。皆さん、お久しぶりですね。

皆さんを助けるために、天の国から舞い降りてきました。」


ニシオカ  「なんとお美しい御姿…。

この世にこれほどまでに美しいものはあろうか?

これほどまでに穢れを知らないものはあろうか?

広大な夜空に煌めく星の輝き、春の訪れとともに咲き誇る花々の美しさ。

そんなものは、あのお方を前にすれば児戯に等しい…。

この両のまなこに焼きついたあのお姿は、この先幾年経ようとも、

僕の脳裏から消えさることはないでしょう…」



僕の乏しい表現力では、その素晴らしさを十分に形容できないのは、

誠に汗顔の至りではありますが、

とにかく、皆さんお分かりのように



サキヤマ神 と サキヤマ女神



が、ご降臨なさったのです!!!



神と女神 「ハラホロヒレアレーアラーアリーノエー!!!」



ニシオカ 「えすぱぁーパワーー!!!




キーーーン!!!




打球はセンター永田(無礼にも女神と同じ姓)のもとへ!



永田 「オーライ。オーライ。な、なに!!!




ギュルギュルギュル




シュピピーーーーン




なんと、上空で球が異様なあり得ないノビをみせ、

捕球態勢に入った永田の頭上を越すツーベースに!


一死後、原田さんがセンター前タイムリニシオカを返し、1点差に。


と、ここで



   ゴ 
   ゴ 
ゴゴゴゴゴゴゴ
   ゴ
   ゴ
     
    
   ゴ
  ゴゴゴ
 ゴゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴゴゴ




4番 センター ミツイ




シャク「ミツイさーん。お願いします!何とかして下さい!」


ミツイ「おい、シャクよ。誰にものを言っている。

我が名はミツイヒロタカ。ホトケの帝王と呼ばれる男よ!





 ゴ 
  オ 
   ォ 
    ン



右中間を深々と破る同点タイムリーに!!!


ミツイ「フッフッフ。これで負けはなくなった!」


その後は、キムラがえすぱぁーエラーで出塁し、

ツーアウト2、3塁のチャンスで



神童  カシワギ



カシワギ「ヘッヘッヘ。『神』の『童』と書いて、神童。

神の童。我、『サキヤマ神』の『童』なり!!!



キーーーーーーーーーーーン!!!



打球は平凡なレフトフライ。

しかし、エスパァー発動状態では、打ちあげれば必ずヒットになります!

カシワギの打球はレフトの前に落ちる2点タイムリーに!!!


なんとこの回、一気に4得点の猛攻




えすぱぁー恐るべし!!!



その後、7回にはウツノミヤのツーベース原田さんの犠牲フライで1点追加。


最後は、シャクが完璧に抑え、ゲームセット☆


今シーズン最高の鮮やかな逆転劇でした!






今日の英雄




カシワギ 2打数1安打2打点


(神童の面目躍如たる活躍であったかは謎?)




試合後、


ミツイ   「サキヤマ神、女神様、どうもありがとうございました!」


サキヤマ神 「うむ。我も暇があれば、ホトケに顔をだそう。がんばりたまえ。」


サキヤマ女神「あなたたちのことを、私はいつも見守っています。」



神と女神は柔らかな微笑みを浮かべながら、

優しく僕たちに語りかけて下さいました。

その後は、天の国から舞い降りてきたペガサス(人間界で言うチャリンコ)

にお跨りになって、天の国へお帰りになりました。



本当に素晴らしい神様と女神様です。

みんなも一生懸命勉強と野球を頑張れば、

必ずサキヤマ神達が救いを下さります。

来週から学校が始まって、これまで以上に大変な日々となるでしょうが、

今まで通り、勝利に向かって邁進していきましょう!