ジャスティス戦 『中村がカッコ良かった』

チャンスとはスキンヘッドのようだ。

剃られた髪の毛はつかめないが、

チャンスのときはしっかりとつかまなければいけない。


ホセ・フェルナンデス





聖護院から富小路グランドまでの道筋、
市井の人々は我が目を疑ったことだろう。



昭和初期、戦後真っただ中の野球選手のような服装をした男
チャリで滑走していたのだから。



一般人どもよ。さらに驚け。恐怖しろ。



明らかに不惑をむかえていそうなこの男 今年成人式を終えたばかり。
ピチピチの二十歳である。



どこをどう間違えたのか?何がどうなってこうなったんか?



アンチエイジング研究家の恰好の研究材料とされよう彼、

ナカムラフミヒコは本記事の主人公だ。



グランドに到着し、胸を躍らせながらスタメンを確認しようとするナカムラ



無論、スタメンに自分の名があろうとは考えていない。

そんな夢はとっくの昔に捨てていた。


ミツイがどういう采配をするかスコアラーとして確認したいだけだった。



8番までは、ごく平凡ないつものオーダーだった。



1番にニシオカ、不動のクリーンアップ、その他もろもろ…。



しかし、9番に刻み込まれた名前とポジションを確認した時、彼は驚愕した。



眼鏡を外し、もう一回確認した。


同じだった。


変わらなかった。






9番 ピッチャー 中村






背骨の底から湧きあがってくるゾクゾクした喜び。



この気持ち…。



忘れていた。もう失ってしまったと思っていた。



チームが熾烈な優勝争いを演じる中、ようやく巡ってきた最高の舞台。



男は静かにマウンドに向かって歩を進めた。












ホトケは初回、先頭のニシオカがショートゴロウツノミヤがヒット
原田さんがサードフライミツイがセカンドフライ



で、攻撃終了。






ん!?






いや、すいません。間違えました。



今日の対戦相手はジャスティス。


昨年のリーグ最下位であり、
今年も圧巻の実力でその地位をキープせんとする安定感。

『正義』の名を背負う彼らにとって、

守備位置から半径2メートル以内の打球を捕球する卑劣な所業はあってはなりません。






安心と信頼のブランド ジャスティ






本当に毎度毎度どうもありがとうございます。

右方向への打球、外野への飛球、内野ゴロはことごとくヒットになります。

これからも末長くお付き合いのほどよろしくおねがいします。




ジャスティスのご厚意により、

先述のニシオカのショートゴロ、ミツイのセカンドフライがヒットになり、

シャクがセンターへのタイムリであっさり先制。



そして、いよいよナカムラが先発のマウンドへ。




ミツイ 「お前が何点取られようとも、俺が必ずバットで取り返してやる。」




ニシオカ「ワンバンは全部俺がとめてやるよ!思い切って投げろ!」




これまで、ナカムラのやることなすことに
辛辣な口調で毒を吐きヘラヘラしていたこの連中。



しかし、彼らが吐いてきた毒は、実は愛情の裏返し。

ホントはマイルドでクリーミーなイチゴ味なの♡



今日はナカムラのために何とかしてやりたい



そんな熱い気持ちを試合前から胸に秘めていたんです。



おい読者のみんな、感動してええんやで(ニッコリ)



ナカムラ「打たれてもあいつらがなんとかしてくれる!

ワシはワシの最高の球を投げ込むんや!」






ギュイィイイイーーーーーン







ジャス1番「うっうわーーーーーー!」







ズバーーーーーーーーーーン







え?






このとき、フィールド上のホトケ選手たちはおろか、

ベンチにいたマユハちゃんとハツネちゃんも

この驚愕の事態を咀嚼し、自分で納得するまで2分は要したであろう。




なんとジャスティスの1番があっさり三振したのだ!!!




そんなバカな…。


ナカムラが打たれまくるけど、バックが懸命の守備で盛り立て、


攻撃では奪われた点を取り返し延長の末、ボロボロになりながらも勝利。


みんなに礼を述べるナカムラに仲間たちが明るくいい放つ。



「ナイスピッチングだったぜナカムラ。この勝利はみんなで掴んだ勝利だ!」



そんな感動のあまり涙ちょちょぎれるシナリオが…。







あっさり崩壊したのだった!!!







その後、ナカムラが4回までノーヒットノーランの予想だにせぬ展開…。



そして、もう一つの誤算が…。



ジャスティスの『正義』を履き違えた覇気のないプレーに
ホトケが感化されてしまったのだ!



思えば、最近の数試合は手に汗握る緊迫した展開ばかり…。


「いつでも点がとれるだろう」「相手は点がとれんやろう」


そんな緩みきった空気はあろうはずもなかった。



言ってみれば、



海抜5000メートルで高地トレしてたマラソン選手が
3年ぶりに山を下りて走ったときのフワフワ感…



とでも、表現すればわかりやすいでしょうか?


とにかく、今日のホトケはフワフワユルユルでした。


3回にも一点を奪うも、4回まで8残塁の拙攻…。



しかし、野球とは厳しいスポーツです。


『油断』や『慢心』を持っていて勝てるほど甘くはありません。



5回、ナカムラの増長も相まって悲劇が起きる。




ナカムラ「ヒッヒヒイヒ。完封ノーヒットノーランみえてきたのぉー。
真のエースはワシなんちゃうけ。イヒ。」




増長したナカムラのボールは弾き返され、名手イケダのエラーキムラの悪送球などで、無死一ニ塁のピンチ。



ここで、むかえる相手バッターは









そうです。汚物です。
汚いので御所の便所に流したら、ジャスティスベンチに流れ着きました





ナカムラ「ガルルルル!てめぇにだけは打たせねえ!」




汚物  「ヘッへ。お前を打ったら俺の打率が上がるんだよ。嬉しいぜ!」




ナカムラ「んだとてめぇ!シネやボケー!!!」




これまで紅白戦や野球盤で汚物にカモにされてきたナカムラ。

以前から、ハラワタが煮えかえる思いだったのでしょう。


力みまくって投じたボールはワンバウンドに!


(注 ここから先は心臓の弱い方は読まないでください。)





シュルルルルル






コキーーーーン








ニシオカヒデブ!!!






賢明な読者ならもうおわかりだろう。


この先を言わなくてもよいであろう。


この世に生をうけた男子諸君、一度は味わったことがあろう地獄の苦しみ


想像するだに恐ろしい…。


こんな玉さえなかったら、こんな苦しみを味わうことはないのだろうに


おいモリよ。↑を仮定法で書いてくれや。


そうです…。


簡単にいえば、





球が玉に直撃したのだ!!!






ニシオカよ。


プリキュアに変身しとくべきやったな。


玉がないから安心やで。




このニシオカの悶絶につけこみ、ジャスのツーベース攻撃で同点に追いつかれることに…。



その後は、なんとか1死満塁で4番をゲッツーに仕留め、踏ん張るナカムラ



ミツイ「おいてめえら!いいかげんに目を覚ませ!」



主将の怒号に我にかえるホトケ一同



その裏の6回、助っ人でジャスに入ったモリを狙い撃ちする非道な作戦で
3点を奪う。


7回にも、カシワギ・フナコシ・ドイ・シャクなど4人がモリを狙い撃ちし
3点を奪い、あっさりリード。


他チームの皆さん、モリには打球を飛ばさないでくださいね。




そういえば、7回の攻撃、こんなことがありました。




シコシコシココココ…




淫靡な音を立てながら打席に入ったのは

チーム1熱心に夜の素振りに励む 淫獣 イケダ。

昨日は値千金の勝ち越しタイムリを放ったが、ここまで3タコ…。




イケダ「今日はマネさんたちが来ている!
だからこそ、この打席で一発やりたいんや!

たとえこれから先、何度凡退しても構わない!

この打席に俺の命を懸ける!

一発やったりたいんや俺は!!!






ドビューーーーーーーーーン






まるで何か白い液体が飛散したかのような快音を残し打球はレフトへ!


イケダのバットから放たれた白い打球はレフトへ伸びる!


飛球を確認しながら1塁へ走るイケダ



しかし、ベンチで見ていた1回生は異口同音に信じられない言葉を発する!






ドイ・シャク・ウツ・カシ捕れーーーーー!






イケダ・ジャス守備陣  「なんでですのん!?






パシッ







みんなの心が一つになり、

みんなの願いが叶いました!

イケダの素晴らしい当たりはレフトライナーに終わったのです!




1回ども「ヨッシャオラー!!!」




今日一番のベンチの盛り上がり!


ありがとうイケダ!


夢をありがとう!




こんな感動的なエピソードもあり、いよいよ最終回。



ナカムラがマウンドに向かい、ミツイがキャッチャー。


ついに実現した愛のバッテリー。




ミツイ 「ワンバン投げんなよ。とれんし。あと、キャッチャーフライムリやし。」



ナカムラ「ヘイヘイ!わかりやしたー!」




妻(ミツイ)の無茶な要望にも、夫(ナカムラ)は愚痴の一つも零しません。


なんて互いを愛し合った素晴らしい夫婦なんでしょう!


案の定、ミツイのまずい守備で1点取られましたが、
愛の力で逃げ切りました♡






今日の英雄



ナカムラ 7回自責1の好投





試合後、今までナカムラを虚仮にして面白がっていた1回ども

「マジキモイんですけど」と生理的にナカムラを拒絶していた1回生マネ2人

不良債権ナカムラに手を焼いていた2回生幹部たち

みんな彼の好投を讃えていました!





なんだかんだでよく投げたと思います。


でも、ナカムラは勘違いしないでください。


今日の試合は、これから先、重要な局面でおまえは使えんよ


ちゅうことの埋め合わせやし。

間違っても、オールウェイズ戦に出たいとか言うなよな。




金曜勝てば、30勝到達マジック1が点灯します。


この調子でがんばろうぜぇい!!!