ホトケ観察日記 〜死闘編〜


「ワンピース」って言葉を聞いたら、あなたは何を思い浮かべる?
今じゃあ大概の人が大人気海賊漫画のことって思うでしょうね。
でも漫画に興味のない人だったら洋服の種類だと捉えるんじゃないかしら?



だから私にとっての「ホトケ」って言葉は宗教的でもなんでもなくて、とっても強い野球チームのことなの。


なぜなら私は容姿端麗・頭脳明晰、まさに才色兼備な稀代の京阪リーグファンの女の子。


京都の大学に入学してから御所に通いづめの毎日よ。


…えっ?…私の名前なんてどうでもいいじゃない。

そうね、どうしてもっていうなら「プリチーなホトケファンの女の子」とでも呼ぶがいいわ。ちょっと長いけどね。




もちろん京阪リーグ自体も好きだけど、その中でも私はやっぱりホトケが好きなの。

堅実な守備も魅力だけど、なんといっても最大の魅力はあの打撃力よね。

昨年は1年間で約260得点、チーム平均台率は0.260以上っていうんだから驚きだわ。





彼らの打力は日々の生活でたまる私のストレスを発散してくれるのよ。




昨日も私は御所へ行ったわ。




服の袖からほつれた糸が出ていてハサミで切りたいけど手元にハサミがないときに一か八か思いっきり引き千切ろうとすることってあるじゃない?
あれに失敗したの…。おかげで左手の袖がピチピチよ…。


このストレスを解消するためにね。



すると驚き、だってその日のホトケの対戦相手はキッズじゃない。







私、ホンマくんが苦手なの。






確かに長打のあるバッティングは京阪屈指だし、ピッチングに関しても素晴らしいものを持ってるわ。




でも…、なんていうか…、あの態度がいけすかないのよ。
「僕なんて全然ですよ〜」みたいな偽の謙虚さがにじみ出てるの。








そのくせ彼女にはデレデレしてるのよ。







なんなの?イライラするわ。








…おっと、危ない。




イライラしすぎて「左手の小指を折ろうとする癖」が出そうだったわ。


左手の小指が折れたら「A」のキーが打てないものね。
それは困るわ。






とにかく私はホトケ対キッズの試合を観戦することにしたの。



すると、初回よ。
いきなり先頭のニシオカくんが特大の2ベースを打ったの。


私ったらすっごいスッキリしちゃったわ。


スッキリしすぎて思わず「肺呼吸をやめようとする癖」が出そうだったわ。

肺呼吸をやめたらえら呼吸になっちゃうものね。
それは困るわ。





最近の好調ぶりも相まって、2塁へ駆ける彼は相当に優雅だったわ。





私、ニシオカくんって大好きなの。

なんだかスマート感があるし、物事に一途だし、それから……







んーー……。







やっぱり嫌いだわ。


だってあの人って社交性がないもの。言葉とは裏腹に肝が小さいし、人に自分と同じレベルを要求するのがサイテー、超サイテー。






とにかくホトケが先制のチャンスだったの。

その時は私は思ったわ。

「どうせホンマくんはスライダーでワイルドピッチするのよね、そうよね。」


ってね。

そしたらホントにワイルドピッチするんだからびっくりしたわ。

もしかして私ってノストラダムスなんじゃないかって思ったほどよ。

でも次の瞬間にそれが間違いだと気付いたの。

だって2回連続ワイルドピッチだったんだもの。





私、「2回連続」まで予想してないわ。

それじゃあノストラダムスなんて言えないもの。

せいぜいノストラダぐらいだもの。





とにかくホトケが先制したの。




私ったらすっごいドキドキしちゃった。

ドキドキしすぎて思わず「右目だけ左を向こうとする癖」が出そうだったわ。

それじゃあ左目の立場がなくなるものね。
それは困るわ。




でもそのドキドキもそこまで。


すぐに同点に追いつかれちゃったんだもの。


1アウト1,3塁でゲッツー崩れだったの。
ホトケの人たちは、今のはファーストも間にあってたからゲッツー成立だろって言ってたわ。
そりゃそうよね、ゲッツーだったら無失点でチェンジだもの。

キッズの人たちは、今のはファーストはセーフだからゲッツー崩れだって言ってたわ。
そりゃそうよね、ゲッツー崩れだったら同点でまだ攻撃のチャンスだもの。



そしたらジャンケンで決めようぜって言い出したの。


私個人としては、「紙」が「石」に勝つってルールに納得がいかないから、こういうときはデュエルするようにしてるんだけど、みんなデッキを忘れてきてたようだし仕方ないわね。


ホトケが負けたので同点。


デュエルじゃないもの。仕方ないわ。




でもその後はエースのシャクくんが頑張って4回まで1失点の好投をしたの。



私、シャクくんって大好きなの。

真面目で正義感溢れる感じがすごく好青年っぽくて、それから……






んー……、






やっぱり嫌いだわ。



あの人って穏やかな雰囲気なのに近づくとすごい威圧感を感じるの。

北斗の拳でいう山のフドウって感じ。

それに関西育ちなのにツッコミという文化を知らないのがサイテー、超サイテー。





とにかくかなりの接戦だったの。


すると5回、またもやニシオカくんが2ベースを打ったの。

3塁線を破る見事な当たりだったわ。


そしたら2番のマキノくんがしっかり進塁打を打つの。
彼って初心者らしいんだけど、ここまで今季ノーヒットなのにエラーで出塁だとか進塁打だとか最低限の役割を果たす姿はそのへんの経験者より優れているのが非常に疑問なの。



すっごく疑問で頭がクラクラしちゃった。


ラクラしすぎて思わず「右ストレートを打つ時に左のガードが下がる癖を直そうとする癖」が出そうだったわ。

こんなとこでシャドーしたらスカウトされちゃうもの。
それは困るわ。






とにかく勝ち越しのチャンスでバッターは4番のミツイくん。


でも今季は不調らしいの。ミツイ劇場とやらが開幕しないってさ。

この打席でも平凡なライトフライ、ダメダメよね。




と思ったら、ライトが落球して勝ち越ししたの!
こんなことってあるのね。






私、ミツイくんて大好きなの。
努力家で清濁併せ持つ器量があって、それから……








やっぱり嫌いだわ。


あの人って下品なの、照れ屋で酒に呑まれるし、なによりこの打席のエラーを無理矢理ヒットにするような卑怯者なのがサイテー、超サイテー。







野球ってミスした方が負けるってよく言うじゃない?

だからもうホトケが勝ったも同然だって思ったの。
でも違ったの。


先制と時と同じで、その直後に追いつかれてしまったのよ。



上記の法則が当てはまらないことがあるなんて私信じられないわ。

でもよく考えたらこの状況は法則に当てはまっていなかったことがわかったの。




つまり、ホトケも同じようなミスを犯していたってこと。



イケダくんが3三振したり、イケダくんが2エラーしたり…。







これじゃあ簡単には勝てないわよね。


結局2−2のまま7回が終了したわ。





猛打がウリのホトケなのに今日はニシオカくんの2べース2本とシャクくんの2べース1本しかヒットがなかったの。




それでも負けてないのは要所で光る守備があったからなの。





特に終盤でセンターのカシワギくんが犠牲フライからバックホームでアウトにしたときは凄いヒヤヒヤしちゃったの。

ヒヤヒヤしすぎて「アニメでよくある崖から落ちそうな時に空中を平泳ぎすると岸に戻れる理論について考察する癖」が出そうだったわ。


あの場面でバタフライしたら作画が大変だもの。
それは困るわ。





とにかく試合は延長戦になったの。


それでも均衡は崩れず、夕刻が迫ってきたから私は仕方なく家に帰ろうとしたの。





私、セグウェイで移動してるから暗闇の中を移動するとむやみに人を驚かせてしまうと思って。





でもその時、フォアボールで出塁したランナーが連続ワイルドピッチでいつの間にかホームに帰ってきてたの。




ようやくホトケが勝ち越したのよ。



結局、このリードを保って勝利したのよね。






キッズ戦は熾烈な総力戦になっていつも大変みたい。




今日の英雄はやっぱりニシオカくんかしら。
チームヒット数3本のうち2本も打ってるしね。


でもカシワギくんのレーザービームも捨てがたいわね。
あれがセーフなら確実に負けてたでしょうし。





とにかくホトケが勝ってよかったわ。



ホトケが勝利した後の彼らの笑顔を思い出すと、私すっごいワクワクしちゃうの。








あ…





ワクワクしすぎて「更新するつもりもないのに書いた記事の下書きを強引に更新しようとする癖」が出ちゃったわ。







すごく困ったわ。