これがホトケだ! 猛者をも食らう破壊力 〜スヌ戦〜

おい、ドイ。
さっさと服脱げや。

中村文彦




敵、味方の戦力把握がままならず危惧し続けていた新シーズンの開幕も、蓋を開ければ何のことはないいつものホトケ。
リーグ随一の打撃力の軸に開幕2連勝で勢いにのる。



カシワギ「へっへっへ。俺が副キャプテンなんやからこれぐらい当然やろ。現代のアニメ・ラノベでは『起承転結』重視されるけど、俺たちホトケに『』はいらん。始まりから終わりまで勝ち続ける、それだけや!」



確かに彼の言う通りかもしれない。
しかし、強気と奢りは紙一重
少しでも勝負を甘く見た者たちには必ず苦難が待ち構えているのだ。




今日の対戦相手はスヌーピーズ。
昨年は4戦4勝と相性抜群も、強力助っ人を召喚するのに長けたチームであり大変な苦戦を強いられた。
だが、「代」替わりした今年はその貴重な人脈も切れているはず。
こりゃあ楽勝ですなぁ。キヒヒヒ。




しかし、グラウンドに着いたホトケナインは





とんでもない光景を目の当たりにする!















なんと!





昨年以上に筋骨隆々の強力助っ人が幾人となくベンチにたたずんでいるではないか




ミツイ「ま、まさか…。奴が、奴がまだ生きていたってのか!」



永田(スヌの先代主将)「はーっはっはぁーー!!どうだい、この屈強な男たちを目の前にした感想は?去年の苦杯は今年倍にして返させてもらうぜ!」






なんという卑劣な…。


昨年でも容認ギリギリの助っ人戦法であったのにこりず、さらにその上をいく、もはやリーグ規定無用の強行戦法。




ドイ「へへ。これぐらいでビビると思うなよ。パワーアップしたのはお前たちだけじゃない!今こそ、春の自主トレの成果を見せるときが来たのだ!我らがキャプテンにして絶対的なエース、シャクヒデキよ!!





そうだ。俺たちは戦う前からひるんだりしない。


相手が卑劣な戦法を使うなら、正義の力でその上をいくだけだ!







シャク「いや、今日は無理。だって北海道パワーがないし。誰かテキトーに投げといてや。」








まさかの急展開に騒然とするホトケベンチ


シャクが自ら先発を辞退するなど、道に落ちている宝くじを拾って3億GETするぐらいの天文学的確率のはず…。



シャクを差し置いていったい誰が先発のマウンドに立てるというのだろうか?

前年スヌを完封したニシオカか?

それとも勝負を捨ててナカムラ兄さんか?




3塁側ベンチを暗澹たる空気が包み込んだその時!




一筋の光が!








???「おいおい、なんかピッチャー不足らしいな。もしかしてお前ら、俺を頭数に入れてねぇんじゃねぇのか?」




それは嘲りにも似た聞き覚えのある頼もしい声…


しかし、どこから聞こえるのかわからない。




ウツノミヤ「ん〜、おかしいな確かに声は聞こえんねんけどな。」



マキノ「それも、かなり近くから聞こえてくるぞ。」



???「こらこら、みなさん。わたしはここですよ。」



イケダ「何者だ!姿を現せ!」



???「しょうがない。では、みなさん、声のする方へ近づいてください。…そうです。そうそう。ではいきます、見〜下〜げて〜ごらん〜♪」






一同「うわぁっ!」








(参考画像)







ナカザキさん「そう!この俺だ!俺が先発してやろう。ありがたく思えよ!」




突如現れた旧世代のエース・ナカザキさん


ホトケはこの男にマウンドを託すことにした…。







1回


先攻のホトケは1番・ニシオカ、2番・マキノが、強力助っ人である剛速球左腕相手に簡単に2アウトとなるも、

本日は打撃に専念・3番シャクが内野安打で出塁、さらに4番のミツイが影分身でつなぐと打席には5番・フルタことクマ




クマ「がお〜、がおがお〜。」



ウツノミヤ「なんだ?あいつ、相手ピッチャーを見ずに空を見上げているぞ。さては野生の嗅覚で雨のにおいをかぎつけたんだな。こりゃあ一雨くるぞ、退散じゃあ〜〜。」




クマ「がお〜〜、がお〜〜〜ん。」

(訳・そう、ちょうど20年前に初めて見た景色もこんな青空だったよ。)






カキーーーーン




この世に生を預かった記念日に、感謝の想いをバットに乗せて貴重な先制タイムリー2ベース!

クマの平均寿命は25年〜40年なので、彼はもうすぐ死ぬでしょう!




つづいて6番・ドイもサード強襲のタイムリーヒットを放ち、2点を先制する。





さらに2回。

最近、野球への情熱を失いかけている名手・イケダが父に捧げる華麗な2ベースヒット。

さらにラストバッター・ナカザキさんもセンター前ヒットでつなぐと、

打席には、現在打率0.200と不振にあえぐニシオカ



ニシオカ「あ〜、調子悪いわ〜。しかも、今日は後でなっちゃんが来そうやねんなぁ。あいつが来たら絶対打てへんし、この打席しかチャンスないねん。」







バコーーーン





失うものなど何もないと振りぬいたバットは右中間へと放物線を描きだし、1点を追加。





さらに





ドカーーーン






シャクが2打席連続のヒットで2者を生還させる


が、まだまだ流れは止まらない。




バースデー・クマがこちらも2打席連続タイムリーで



6−0と一気に突き放す。







普段ならこれで十分な得点差だが相手打線は強力助っ人陣営

いつも以上に堅固な守備で挑まなければ、相手の猛追は必至。




と、思われたが…









ズバーーーン





ストライクアウト!!







ナカザキさん「おうおう。こりゃあ随分と強力助っ人なこった。リトルリーグでも頑張りなよ。」



長いオフシーズンで体重が3キロも増えたにもかかわらず、球のキレは依然と変わらず
いや、むしろ成長したと言ってもいいぐらいであろう。



1,2,3回と得点圏にランナーこそ背負ったものの誰一人ホームを踏まさない完璧なピッチング



本日絶好調のクマバックホームで好返球するなど、バックにも助けられながら5回を無失点








なんとか追加点を奪いたいホトケではあるが、3回以降はニシオカが復調の兆しを見せる猛打賞を記録するのと、ウツノミヤの世にも醜いバッティングで華麗なレフト前ヒットを放つにとどまる




一方スヌは、助っ人をすべてベンチに下げ、旧世代エース白藤さんをマウンドに送るなど本来のスヌーピーズとして団結力での勝負にかけてきた。



これが功を奏したのか、内野安打を皮切りに、有頂天のクマが外野フライの目測を誤るなどして1点を奪われる




さらには最終回



内野ゴロを3つ連続エラーで無死満塁の大ピンチ



今日は新入生が来てくれたので人数過多になり、最後の守備陣営はおせじにも堅いとはいえないことも考慮すれば、



6−1とはいえ十分に逆転される可能性が。







シャク「くっ、やっぱり僕がベンチに下がったのは失敗でした。僕だったら1回なら確実に抑えきることができるというのに…。」


モリ「シャクよ、どうやらお前がフィールドにいたところで出番はなかったようだぜ。あれを見てみな。」














ミツイ「あ、あれは…!か、『勝身煙(かちみけむり)』!
1993年から週間少年ジャンプで連載された人気漫画『NINKU-忍空』において、史上最強の格闘技である忍空使い、その中でも干支忍とよばれるトップクラスの実力者が本気で戦う時だけに見せる、体から発する多量の水蒸気です!






ナカザキさん「へっ、ちぃーとばかし本気をださせてもらおうか。このホトケってチームは、俺が本気だしてでも勝利したいって思う数少ないチームなもんでね。」







ギュルギュルギュル





ググッ





ズバーーン!!







鋭いノビを見せるストレートに加え、凄まじい切れ味の変化球で相手打線を翻弄



ようやく前に飛ばすことができたのは醜い打球だけ…。


そして醜い打球をさばくのはもちろんこの男。






ウツ「ゲバシャァァアアアラーー!!」




無死満塁から2者連続のサードゴロで本塁フォースプレー



そして最後はきっちりと三振で締め、圧巻の7回1失点完投





ホトケは無傷の開幕3連勝。








どんなに強力な助っ人が来たところで俺たちホトケが屈することはありません。


野球に何より必要なのはチームワークです


今日のスヌーピーズも本来のチームに戻ってからの方が手ごわかったと思います。






これからもこの素晴らしいチームワークを大事にし、ナカムラをマウンドに上げることがなければ、ホトケの勝利は揺らがないでしょう!










今日の英雄







ナカザキ


(7回1失点8奪三振1四球&1安打)






ニシオカ


(4打数3安打1打点)





フルタ


(3打数2安打2打点&ライトからの補殺)