謎の指導者「N」の襲来!! Part2
ん?あぁ、お前か。
ふふっ、久しぶりだな。
開幕から4勝1敗か。なかなかやるじゃあないか。
知ってると思うが、今年からチームホトケは「超攻撃型野球」をモットーとした打撃のチームに変革された。
今のところ、一見それに見合う結果が出ているようにも見えるが……
駄目だな。
ほとんどがエラーがらみじゃあないか。
これでは打撃のチームとは言えないな。
だが、今からわたしが教える真の野球を理解すれば、超攻撃型にふさわしい結果と勝利が……
何ィ?能書きはいいから早く教えろだとぉ…!?
…ふん。まあいい。
お前も真の野球の魅力にとり憑かれたということか。
まあそれも当然。人間というものは知識を欲する生き物だからな。
それも、今まで当たり前だと思っていたことが覆されるような新事実に触れればなおのこと…。
…いいだろう!今日もお前の脳を揺さぶるとしようか!!!
LESSON2
<ダウンスイングでヒットは打てない!?>
お前、バットのスイングに種類があることぐらいは知ってるよな?ちょっと言ってみろ。
……、フルスイングとハーフスイング?
…この大バカ野郎!!!2回死ね!!
正解はダウンスイング・レベルスイング・アッパースイングだ。
大雑把だけどな。
ちなみにレベルスイングというのはバットの軌道が地面と平行なスイングのことだ。
極端なアッパースイングが原則的にダメな打ち方ってのは知ってると思うが、ダウンとレベルに関してはどうだ?
「ボールは上からたたきつけるように打て!」
…なんて今まで散々言われてきたんじゃないか?
つまり、バッティングの基本はダウンスイング。
…これが間違いだ。
…ん?ふふっ、あまりに衝撃的で言葉も出ないってか。
まあこれはホントに有名な指導法だからその反応も当然かもしれんな。
じゃあそれはなぜかを説明してゆこう。
では右バッターが構えているところを、左バッターボックス方向から見ている、と想像してみてくれ。お前の頭の中の図では、ピッチャーが投げたボールは右方向から地面とほぼ平行に飛んでくる。
それに対して、打者がダウンスイングをするとどうだろう。ボールの軌道とバットの軌道が重なるのは……。そう、一点でしか交わらない。
これはバットがボールに当たる確率が非常に低いことを示している。
一方、レベルスイングならばボールとバット、2つの軌道が線で重なるのでバットがボールに当たりやすい。
まぁ、この説明はあまりにも単純だが、的を射ているだろう?
つまり、「上からたたくように」というのはあくまでも意識的な問題であり、アッパースイングを防止するというのが目的なのだ。
また、実際に試せばよくわかるのだが、ダウンスイングはレベルスイングに比べて手首の返りが早い。
ん?…はぁ。あのな「手首が返る」というのは、バットを握った時に上側にくる手の甲が、スイングの途中に上を向くことだ。
一回ゆっくりスイングする格好をしてみろ。
…わかっただろ?
「手首が返」った状態でボールを打つと、いわゆる「こねた」バッティングになってしまい、いい打球は飛ばない。
レベルスイングは手首が返るのが遅いから、その分有利というわけだ。
どうだ、なかなか理論的だろう。実践では、あまりに水平なスイングを意識するとアッパーになりがちだから、若干ダウン気味かなって程度のスイングちょうどいいと思うぞ。
要するにここで言いたかったのは「ダウンスイングよりレベルスイングのほうが優れたバットの軌道だ」ということだ。
この理論を頭と体でしっかり理解し、試合で再現することができれば、今まで以上の大量得点間違いなしだ!!
10点取られても11点取れば勝つ!
それが野球のルールだ。
では今回はここま…。
何?
‘真ん中や高めのコースはレベルスイングできるけど、低めのボールにはレベルスイングできない’だと!?
…ふふん。お前もなかなか野球がわかってきたじゃないか。
確かに、人間の腕の位置では低めのストライクゾーンに決まるボールに対しレベルスイングをするのは不可能に思えるな。
特に我らが京阪リーグでは低めが苦手だと致命傷だ。
だが、そんな不可能を可能にする魔法が存在するのだ!
教えてほしいか?…まずは自分で考えろ、と言いたいところだが、そんな時間もないようだな。
仕方ない。前回のこのシリーズを思い出してみろ。…忘れたとは言わせんぞ。
前回は、一見すると矛盾とも思える2つの条件を満たすために「ある」ポイントを示した。
今回もそれと同様だ。
…そう「体の軸を傾ける」だったな。
低めのボールに対してレベルスイングができないのはさっきも言ったように「腕の位置から遠いから」だ。
じゃあ単純にボールと腕の距離を近づければいいだけだ。
適度な範囲で体の軸を傾ければそれだけボールと腕は近づく。
そうなれば物理的にレベルスイングが可能になる。
先程はわかりやすいようにレベルスイングは地面と水平なスイングだと言ったが、必ずしもそうでなくても体の回転と平行なスイングであればバットとボールの軌道が線で重なることは可能だ。
巨人の坂本選手なんかは球界きってのローボールヒッターだから手本にさせていただくといいぞ。
…ん?なんだ?適度に傾けるぐらいじゃ、2つの軌道が完全には重ならない?
…バカ野郎!
だからピッチャーは死に物狂いで低めを狙ってくるんだろうが!!
それだけ低めを打つのは難しいってことだ!今の方法は対処法の1つにすぎねえんだよ!
…まったく、やっぱりてめぇはまだまだ野球がわかってねぇな。もっと真の野球の知りたければ、またここに来い!
今日はここまで!アリーヴェデルチ!!(さよならだ)